訪問型の病時保育に「保険」の仕組みが登場
「病児保育」は国内では、一時的に病気にかかった子どもを施設で保育するのが主流です。国から補助を受けるためには感染症を防ぐための専用スペースと、利用児童3人に保育士1人以上のほかに看護師が必要。このように条件が厳しいため、施設が不足しています。
インフルエンザなどが流行するとすぐいっぱいになって、利用できないことも多いが課題です。急に病気になった子どもの自宅で、働く親の代わりに面倒をみてくれる「訪問型病児保育」は、自前で場所を確保しなくて済むのでハードルが高くありません。「施設型病時保育」を補完するように広がっています。
そして「訪問型病時保育」を使いやすくしようと、新しい方式が広がり始めています。親同士で支え合う「共済型」に加え、使わなければ会費の一部が返ってくる「保険」のような仕組みも生まれているのです。
「共済型」の訪問型病児保育を国内で始めたのは、東京のNPO法人「フローレンス」。2005年から、東京都中央、江東両区でサービスを始めました。いまは東京23区や横浜市、川崎市など4都県に展開し、会員は3千人に達します。
2013年2月、神戸市でサービスを始めた「ファミリエクラブ」は、利用回数で会費が変わったり、還付金があったりする点で自動車保険のような性格も持っています。朝8時までに電話連絡をすれば、原則90分以内にスタッフを自宅に派遣。月1回の利用料込みの標準プランの場合、月会費が8,400円です。2回目からは1時間1,680円が別にかかりますが、利用がなければ月1,050円が戻ってきます。
月会費は3ヶ月ごとに見直し。利用が3ヶ月で1回までなら据え置かれ、2回だと11,550円、3回なら14,715円に上がります。入会金10,500円や年会費12,600円も必要です。
風邪は冬に多いものの夏には減るなど季節変動が大きく、病児保育を経営的に成り立たせるのは難しいもの。共済型にすることで、運営側は安定した収入を確保。利用者側にとっても、冬場などに出費が集中することを抑える効果が期待できます。