大豆に「前立腺がん」再発予防効果はナシ
「大豆サプリメント」には、前立腺切除後の前立腺がんの再発を予防する効果は認められないことが小規模研究で示されました。前立腺がん男性の多くが大豆製品を利用していますが、大豆が再発を防止するという確かな根拠はないと研究グループは述べています。

研究を率いたアメリカのイリノイ大学のMaarten Bosland氏は「前立腺がんの手術に大豆を毎日食べでも再発リスクが低減することはない」とする一方、大豆による有害な副作用もないと述べています。Bosland氏によると、今回の被験者はいずれも前立腺全摘除術でがん細胞を完全に除去できておらず、再発のリスクが高かったといいます。
この研究では、前立腺がんの手術を受けた男性を対象に、大豆プロテイン飲料とプラセボ飲料のいずれかを2年間毎日飲み続けた場合を比較。しかし、がんの再発について有意差は認められませんでした。
しかし、アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAnthony D’Amico氏は、この研究が小規模であるために決定的な結果が得られなかった可能性を指摘。「ベネフィットのある可能性があり、害がないのであればこの知見に基づいて大豆を摂取しなくてもよいとはいえない」と述べています。
一方、Bosland氏は、もっと大規模な研究を実施しても結果は変わらないだろうとコメント。「もし効果があるとしても、それを明らかにするには何千人もの被験者を集める必要があり、その効果は臨床的に意味がないほど小さなものであると考えられる」といいます。D’Amico 氏は、幼少期から大豆摂取量が多いアジアでは、米国に比べて前立腺がんの発生率が大幅に低い点を指摘しますが、高齢になってから大豆を摂取し始めて同じ効果が得られるかどうかは不明としています。
今回の研究は、ヒトを対象とした前立腺がんの再発に対する大豆の効果を検討したものでは初めて。術後の患者177人を無作為にダイズ飲料群とプラセボ群に割り付け、手術から4か月以内に飲み始めてもらい、前立腺特異抗原の値を定期的に測定したものです。
その結果、全体では28.3%に2年以内の再発がみられ、大豆群では27.2%、プラセボ群では29.5%でした。大豆群ではプラセボ群に比べ再発時期が「31.5週対44週」と早かったものの、その差は統計的に有意なものではなかったといいます。
この研究は、大豆群に有益な効果が認められなかったため早期に中止。米国がん協会によると、米国では男性の6人に1人が生涯のうちに前立腺がんを発症するといいます。
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