生命保険各社が「保険料」を値下げする理由
生命保険各社による「保険料」の値下げが相次いでいます。そこには、どのような「からくり」があるのでしょうか?
契約者が保険会社に支払う掛け金が「保険料」です。毎月一定の掛け金を払う「平準払い」と、一度に多額の保険料を払う「一時払い」が一般的です。契約者は死亡したときや病気になったときに、保険金や給付金を受け取ります。
相互扶助が基本の生命保険では、契約者が払った保険料と受け取る保険金が全体で釣り合うように保険料は計算されています。生命保険会社は保険料を決める際に、あらかじめ運用利回りを「予定利率」として契約者に約束。予定利率が高いと契約者は少ない保険料で保険金を受け取れます。
バブル期の予定利率は「5~6%」と高かったものが、その後は下げが続いて現在は、過去最低の「1%程度」になっっています。このため、保険料は割高傾向が続いており、契約者は高額の契約を見直すなどして保険料の負担を抑えてきました。
生命保険会社が人件費や物件費を削ると保険料に織り込む経費が減るため、保険料は下がります。たとえば、ネット専業の生命保険会社は営業職員を持たないため、低い保険料を提示できるというわけです。
大手生命保険会社は近年、他業界に比べて削減余地が大きいとされてきた経費を圧縮し、保険料の大幅引き上げを見送ってネット専業に対抗。それでも健康な高齢者が増えた影響などで予定した死亡率を下回る状態が続いており、業界全体では2兆円を超える営業利益を確保していました。
生命保険各社の保険料の値下げには、このような背景があるのです。